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仮面ライダー刀-エッジ- 05.アナザー・サーティーンズ

 悔いていても、戦うしかなかった。
 様々な想いを胸に秘めていようとも、非情な戦いは続くのだ。
 全ては、53体のアンデッドを封印する日まで……悪夢のような
バトルファイトを終わらせる術は、他にない。
 剣崎一真。
 橘朔也。
 上条睦月。
 そして、刀麻一聖。
 4人の仮面ライダーは、その日を信じて戦うしかなかった。


 そんな彼らの戦いを、更なる混沌へと突き落とす出来事が、
今日起きるとも知らず--。



 アンデッドレーダーが、群れているようなアンデッドの動きを捉えた。
 しかし、
「何か様子がおかしい」
 出動前に橘朔也がそう呟いたが、気にする間もなく
3人のライダーは現場へと向かった。
 場所は廃墟と化した工場地帯の一角。人的被害が比較的
少なそうな場所だった。
 そこで彼らが目にしたのは、、
「アンデッド同士で、戦ってるのか」
 橘が出動前に感じた違和感はこのことだったのだろうか。工場内には複数体の
アンデッドがおり、そして戦っていた。
「でも……おかしくないですか」
 最初に口を開いたのは睦月だった。やがて一真らも、その疑問に行き当たる。
 本来のバトルファイトであれば、アンデッド同士で戦いが起きるのは
不思議なことではない。だが今、アンデッド達は自身がバトルファイトの為に
覚醒したわけではないことを知っているような節が見受けられていた。
 これまでの戦いで、アンデッド同士が結託したことはあっても反目している状況
は初めてだ。
 一体どう手を打てばいいのだろう。
 戸惑いながらも成り行きを見守っていると、更に分かったことがあった。
 戦っているアンデッドは5体。だがよく見れば、その戦いは1対4の戦いで
あるようだ。1体のアンデッドに集団で襲いかかっている。
 いかにアンデッド同士の戦いとはいえ、多勢に無勢というのはいささか気分が悪い。
 かと思われたが、
「橘さん……あのアンデッドは?」
 一真が信じられないことに気付く。
 劣勢を陥っているのは、数の多い方だ。囲まれていると思われたアンデッドの方が、
どう見ても強い。孤軍奮闘の戦いぶりで、次々と周りから遅い来るアンデッド達を
返り討ちにしている。
 しかも、一真を驚かせたのはそれだけではない。
 いや緊張に顔を強張らせている朔也もまた、一真と同じことに気付いていた。
「どうしたっていうんです?」
 ただ一人、それに気付いていない睦月が問う。
「あんなアンデッドはデータベースに存在していない。信じられないことだが、俺達の
知る53体のアンデッドでは、ない」
 未知のアンデッドの出現と、その戦闘力の高さに彼らは息を飲んだ。


 巨大な鳥の頭部に似た両肩を震わせ、未知のアンデッド――モアアンデッドが
高々と跳躍する。
 彼の武器は他でもない、その強靭な脚力にある。そして両腕に備わった荒々しくも
禍々しい爪を、頭上から獲物たる他のアンデッド達に突き立てていく。
 周囲のアンデッド達が次々に切り刻まれ、その身から緑色の鮮血を噴き出す。
 ここまで惨たらしい戦いであると、逆に彼らにとって不死であることは不幸なのかも
しれない。1対4という状況を意にも介さないように、モアアンデッドは次々と獲物を
倒していく。
 やがてモアを囲んでいた面々が次々をアンデッドバックルを開き、地に伏していく。
 残ったのは、クラブ6であるポーラーアンデッド。
 怪力と吹雪を武器に戦う彼だけが奮闘していた。
 さすがのモアも、彼の吐き出す冷気には手を焼いているようだった。
 しかしそこでモアアンデッドは、驚くべき行動に出る。
 アンデッドバックル――それに沿って手を左へ、バックルの左腰部に動かす。そこに
は、なんとレンゲルやカリスと同型のラウズカードホルダーがあったのだ。その中から
1枚のカードを取り出し、近くで倒れているアンデッドへと投げつける。
 それはダイヤ6、ファイアフライアンデッド。バックルをすでに開放していた
彼の身体はカードに封印され、モアアンデッドへの手元へと戻る。
 その一連の動きに驚き、そしてすぐさまポーラーが口から全力の吹雪を撃ち出す。
今までで最大規模のブリザードが、モアアンデッドの身体を包む。
 だが、吹雪の中から聞こえてきたのは、

〈ファイア〉

 カードの力が解き放たれたことを意味する音声が響く。
 そして、全身に炎を纏ったモアアンデッドは、吹雪の中を真っ直ぐ駆ける。
正面に立つポーラーアンデッドへと一気に間合いを詰める。
 燃え盛り、まるで火柱のように赤くなった右足を蹴りこむ。
 ポーラーの動きが止まる。
 モアアンデッドの炎のキックが、その腹部を見事なまでに貫いていた。
 次いで生じた激しい爆発にもモアは怯まなかった。静かに、爆発で舞い上がった
粉塵の中に佇む。
 そして周囲のアンデッド達をしばし見渡すと、ゆっくりとその手が、
再びラウズカードホルダーへと伸びた。
 だが次の瞬間、別の方から飛んできたカードが、倒れていた3体のアンデッドに
突き刺さる。カードはアンデッド達を封印すると持ち主の手へ――変身した一真ら
ライダーの手元に戻ってくる。
 モアアンデッドの視線が、ライダー達へと向けられる。
 しばしの膠着状態。
 先に動いたのは、モアアンデッドだった。
 口元を不気味に歪ませたかと思うと、そのまま一気に跳躍。ほぼ一瞬のうちに視界から、
そしてレーダーの範囲外へと姿を消した。


「橘さん。あのアンデッド、カードを」
「ああ。間違いなくラウズカードを使っていたな。封印までして」
「あんなアンデッドはいなかったのに。いや……でも」
 一真は思い当たってしまった。
 この戦いに現れた、もう一人のイレギュラーな存在。
 仮面ライダーエッジのことを。
 エッジもまた、すでに存在しないはずのアンデッドを所有している。
 彼と、謎のアンデッドに何らかの関係があるだろうことは、想像に難くなかった。

続く







 第5回目更新です。
 謎のライダーだけでなく、謎のアンデッド達もこの戦いに参戦してきます。

 前回更新時の続きですが、剣崎って凄くシンプルに"ヒーロー"をやりましたよね。
 普通のヒーローといいますか、フォーマット通りといいますか。
 悲しい過去を背負いこそしていたけど、あまりそれで葛藤しすぎたりとかでもなく。
(ちょうど4作目ということもあり、マンネリ化していたのでしょうか?〉

 僕個人としては個性的なキャラを好む傾向が強いので剣崎はあんまり……でしたが、
 そういう部分の無さが、逆に多くのファンからの支持を得ている理由かなと。

 あとはTV版最終回での決断が、やはり彼の全てを物語っていますよね。
 究極の自己犠牲。
 良いか悪いかではなく。
 ただ、運命を変えて友を守ろうとした男の決断。
 リアルタイムで見ていた時は、

「あぁ……剣崎が仮面ライダーになった」

 と思ったのを覚えています。


 もう何が書きたいのか分からなくなってきたw
 剣崎は別段好きなわけではない。
 でも凄い男だと思います。
    完。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

仮面ライダー刀-エッジ- 04.ライク・ア・ジョーカー

 そうするしかなかった。
 何度も自分に言い聞かせている。あの時から、今までずっと。
 剣崎一真は、かつての戦いの中で罪を犯していた。いや、人類を守る立場にあった彼の行いを罪を呼べるのは、他でもない彼自身だけだろう。
 彼自身の中で悔いている行為――それは最凶のアンデッドである、ジョーカーを封印したこと。
 地球生態系の頂点を決めるバトルファイトにおいて、唯一ジョーカーは全生物を滅ぼす為だけに存在している。ジョーカーの勝利は全生命の死滅と同義であり、彼を含めた53体のアンデッドを封印することが、アンデッド達のバトルファイトを終わらせる方法であった。だから仮面ライダーとして、一真は何も間違ったことをしていない。
 彼の戦いが、4年前の死闘に終止符を打ったのだ。
 だが、ジョーカーは特異な存在であった。
 ヒューマンアンデッドの力によって"心"を持ってしまったジョーカーは栗原家の人々と関係を持ち、そして戦いの中で一真ら仮面ライダー達との間にも絆を育んでいたのだ。
 ジョーカー・相川始。彼のことを、一真は仲間だと断言できる。
 だが、世界を救うために彼は仲間である始を封印した。そうするしかなかった。
 何度も自分に言い聞かせている。あの時から、今までずっと。
「じゃあね、天音ちゃん」
 努めて優しく声をかけ、一真は栗原家を後にした。
 当然栗原家の人々は始の正体など知らない。知らせる気にもなれない。
 だが始が突然姿を消したことに、まだ幼かった栗原天音のショックは大きかった。活発だった昔が嘘のように塞ぎ込み、素行も悪くなったという。
 思春期だからね。誰でも一度はああいうの、あるでしょ。
 母である栗原遥香はそう言って、曖昧に笑った。
 確かに自分は、世界を救えたのかもしれない。
 だが友を自らの手で封印し、その為に心に深い傷を負った者が目の前にいる。救えなかったものを見せつけられて、一真の心にもまた深い影を落としていた。
 そして今、一真の心を更に追いつめているものがある。
 栗原家の営む喫茶『ハカランダ』を後にし、走り出した一真のバイク。そのコンソールにアンデッド出現の反応が映り、一真はアクセルを噴かした。
 現場にはすでに、アンデッドではない別の存在が出現しているのが分かった。
 間違いは無いだろう。恐らくは、彼だ――。


 臨海公園が惨劇の舞台と化している。公園にいた人々が、次々と出現したアンデッドの餌食となっていた。
 だが、その場にいち早く現れたのは――仮面ライダーエッジ。
 周囲を一瞥する。倒れた人々の姿に、エッジの仮面の下で一聖の瞳がかっと赤くなるかのように怒りが燃えた。
 フラッシュバックするのは、目の前で死んだ家族の姿。
 救えなかった自分と、仮面ライダーの弱さ。
 脳裏に過ぎったそれらを振り払うようにエッジは、醒刀エッジラウザーを抜く。
「今度は……お前らが狩られる側だ」
 鋭い切っ先を向けたまま、駆け出す。
 その戦い方に容赦は無かった。相手は、不死の命を持つ怪物。死を持って彼らに報いを与えることは出来ない。だからこそエッジはその怒りを、罪を、アンデッド達の身体に無数に刻み付けていく。
 もはやその様は、どちらが怪物なのか分からないほどに凄惨なものだった。


 駆けつけた一真=グレイブは息を呑んだ。
 もはや虫の息となって地に伏したディアーアンデッドに足をかけ、何度も醒刀の刃を突きつける仮面ライダーの姿が、そこにはあったからだ。
 アンデッドに同情するわけではない。だが、それは余りにも残忍過ぎる。
 何より、その戦う様を遠くから見守る人々の怯える瞳。一真はそれを見ることも、そんな戦いをする彼のことも耐えられなかった。
 腰に構えたグレイブラウザーから、ブランクカードを引き抜き、投げ放つ。
 カードはディアーアンデッドに刺さり、そしてその身をカードへと飲み込んでいく、。封印が完了したのだ。
 『サンダーディアー』のカードが、グレイブの手元へと舞い戻っていく。
「お前……何故邪魔をする?」
「いくらなんでも、こんなやり方は間違ってる。だからだ。邪魔したつもりはない」
 力強く言い放つ二人の視線が、しばし無言のままでぶつかりあう。
 その刃を向けられても不思議ではない緊迫した空気が流れたが、エッジはラウザーを腰に収めた。
 そして、エッジはグレイブに背を向けて去っていく。
 見覚えのある背中だった。
(似ているな、あの頃の始に……)
 まだ生まれたばかりの未熟な心を持て余し、始とは最初は決別していた。あの頃の始もこんな風だったことを思い出した。
 だが、彼とて最初からこうだったわけではない。
 彼が心を閉ざし、獣のように戦うようになった原因を作ったのは――他でもない自分の弱さだ。
 無意識に、一真は拳を固く握り締めていた。
 かけてやる言葉もなく、また動くことも出来ずにただ去っていくエッジを見つめていた。





第4回です。
余談中の余談ですが、僕は平成ライダーの劇場版では『MISSING ACE』が凄く好きです。
あの話に不満があったからこんな作品を作っているわけではありませんが、思いついてしまったので
作ることにしています。
ただ書いていて思うのは、やはり主人公である剣崎一真という男のこと。
平成主人公の中で一番個性がないと、個人的には感じています。
でも、彼って人気がありますよね。
その原因を考えてみて分かったことは――続きは次回更新時に。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

仮面ライダー刀ーエッジー 03.レイジング・ソウル

それが、良いことなのか悪いことなのか。
聞かれても咄嗟には答えられないだろうなと、橘朔也は考えていた。
彼の目の前に置かれたディスプレイには、53体のアンデッドのリストが浮かび上がっている。
以前彼らが使っていたアンデッドサーチャーを応用発展させたこの『アンデッドレーダー』は、
アンデッドの活動を衛星監視できるシステムだ。
奴らが動き出すと、どこで、どのアンデッドが暴れるのかが分かるのである。
そして現在、リストにあるアンデッドの1/4に『SEAL』の文字が浮かんでいる。
ラウズカードに封印された状態であることを示している。
人類の脅威・アンデッドの封印は順調に進んではいる。
だが、それは朔也達の手によるものではない。

仮面ライダーエッジ。

彼がそのほとんどを封印している。
朔也が、睦月や一真と共に戦って封印したのは僅か3体。
昔の自分達ならこんな惨めな結果にはならなかっただろう。かつてのライダーシステムをもって戦えれば――3人の中に共通する、決して口にはしないそれは"言い訳"でしかないのだ。
視線が自然とダイヤスートのA……チェンジスタッグに向く。
このアンデッドはまだ封印されていない。大きな動きを見せておらず、まだ見つけることも叶わずだ。
睦月――レンゲルの変身に必要な、チェンジスパイダーも同様だった。
そして問題があるとしたら、一真のブレイドに必要なチェンジビートルには『SEAL』の表示が出ていることだった。
即ち、ビートルアンデッドはすでに封印されている。
そして自分達以外にそれが出来るのは。
「凄い勢いですね、彼」
後ろからの声に朔也が振り返る。
そこにいたのは、睦月だった。ディスプレイを覗き込んでいる。考えていることは同じであろう。
「確実に所在が分かっているのはチェンジビートル、ブレイドだけだな」
「彼と話ができれば、どうにか手にできるかもしれないですけどね。それも難しそうだ」
「ああ……聞く耳持たずもいいところだ」
事実として、朔也たちは戦いの中でその後もエッジと対峙している。
だが睦月も言うように、こちらの話を聞くどころか、刃を向けてくるのだ。
そしてエッジの戦闘力とグレイブら擬似ライダーシステムでは、力ずくなどという手段も取れなかった。歯が立たない。
「少しだけ、思い出しますよね」
何を言わんとしているのか、すぐに分かった。朔也自身もそう思っていたことだからだ。
似ている。
あの、戦いに身を委ねる獣のような姿。
何度も対立し、やがては仲間となったアンデッド。そして誰より人間らしかった異形――ジョーカー。
「4年前の再現のつもりじゃないかと、誰かの采配じゃないかと疑いたくなるな」
「だとしたら、僕らはピエロだ。笑われるでしょうね、ここまで役に立たない演者だと」
「卑下するなよ。しかし、4年前とは違うか。俺達は……あれから4年も経っているだもんな」
朔也は深いため息をついた。
モニターにはジョーカーの名ももちろんあった。
だが、そこにだけは唯一『LOST』の文字が浮かび、一切の反応が無かった。


その頃。
一真の姿は、とある喫茶店の一室。店舗スペースの下に構えられた部屋の前にあった。
小さな手土産をドアの前に置く。そして小さく、優しく声をかける。
ドアの向こうにいる少女へと。
「じゃあ、また来るよ。天音ちゃん」
だが、そこには一切の反応は無かった。一真は曖昧な、それでいて精一杯な笑顔を作りその場を去った。


4年前とは違うのだ。
この戦いは、種の存続を賭けた地球生物のバトルファイトではない。
それは誰の目にも明らかだった。
作為的に彼らを蘇らせた存在がいる。
刀麻一聖はそれを探し出したかった。
その存在を見つけて、自分はしかし何をしたいのだろう。
土下座させたいのか。斬りつけたいのか。それは分からない。
だが、それこそが今の彼の唯一の望みだった。
こんな下らない戦いで全てを失った自分にできることは、それしかないと――轟々と唸る憎しみが彼に戦いを強要していた。

今はまだ、自分に降りかかった運命の行き先を知らず。
仮面ライダー達の過酷な運命は、まだ動き出したばかりだった――。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

仮面ライダー刀ーエッジー 02.ビギンズ・ファイト


仮面ライダーエッジの登場は、その場にいた全員を驚愕させた。
突然の乱入者は、誰も知らない仮面ライダー。
しかもその変身に使われたカードは、スペードのA『CHANGE HOPPER』。
そんなカードは、いやそんなアンデッドは存在しないのだ。
何もかもが理解できない、矛盾した存在。


だがエッジ本人である一聖は、そんなことは意に介さない。
戦い方は自然と分かった。
左腰にマウントされた日本刀型のエッジラウザーを構えると、駆け出す。
その先には身構えているアンデッド。
数は――3体。
エッジは敵の間を駆け抜け、同時に全ての目標に一太刀を浴びせる。
流れるような高速の居合いは、強化された視覚を持つ仮面ライダーらにしか見えなかっただろう。
エッジがアンデッドらに背を向け、そして刃をラウザーに収める。
その瞬間。
爆発が3つ重なるように生じた。
ホーク、ローカスト、そしてリザードの3体はたった一撃で戦闘不能に陥ったのだ。
その証拠に、腰に巻かれたアンデッドバックルが開いている。それが彼らを封印可能状態に追い詰めた印でもある。
実に慣れた手つきでエッジはブランクのカードを投げ放ち、それらを封印する。
ショッピングモールを襲い、多くの犠牲を出した戦いの幕切れは、実にあっけなかった。


グレイブに変身していた一真が、戦いが終わり去ろうとするエッジを追った。
そして問う。お前は何者なのか、と。
だが返ってきたのは、エッジラウザーの鋭い切っ先であった。
「もうアンタ達は……仮面ライダーはいらない」
そう言い残すとエッジは背を向けた。
グレイブは、いや一真は追えなかった。
彼の言葉が胸に突き刺される。言い返したい言葉は、いくらでも思いついた。
以前と同じ力は無い。
戦う意思はある。
弱くても俺達は、頑張っているのだ。
だがどんな言葉も意味を持たない。
自分は、人を救う為に戦っている。だが、今回は救えない命が、犠牲が多すぎた。
エッジの言葉が、自分達の弱さと無能を批判しているのだと分かってしまった。
一真は変身を解き、グレイブバックルを固く握り締めていた。


一聖はバイクを駆り、街を走っていた。
目的があったわけではない。だが止まっていることができなかったのだ。
彼の視界は涙で滲んでいた。
家族を失い。
大勢の人が死に。
憧れの存在は、落ちぶれていた。
今までの日常がひっくり返ったような残酷な現実に、一聖の心は激しく乱れていた。
だから走っていた。
しかし、一聖には悲しみに打ちひしがれている時間はなかった。
一聖を前を走っていた自動車たちが、突然"宙"を舞った。
頭上から降り注いでくる自動車の雨を巧みに避け、一聖は周囲を警戒する。
そしてすぐに見つける。
怪力で自動車を持ち上げ、そして能力である磁力でそれらをデタラメに投げ飛ばしている――バッファローアンデッドの姿。他にも何体かが一緒に行動している。
エッジバックルにチェンジホッパーを装填する。
「変身ッッ!!」
仮面ライダーエッジとなった一聖が、アンデッドの群れに飛びかかる。
戦い方は先と変わらない。
次々とアンデッド達を刃の餌食としていく。
その強さに恐れをなしたのか、バッファローアンデッドが戦闘中のドサクサに紛れるよう背を向けて逃げ出す。
エッジの視界にそれはきちんと捉えられている。
ラウザーのマウントから、2枚のカードを取り出した。
カテゴリー6『トルネードホーク』。
そして、カテゴリー3『キックローカスト』。
カードをエッジラウザーのリーダー部に通し、その力を解き放つ。
エッジの右足に破壊力が、そして疾風の属性が宿る。
俊足の踏み込みで宙を舞う。反転し、繰り出した風のキック『トルネードブラスト』は――バッファローアンデッドの身体を貫いた。

計4体のアンデッドを封印し、エッジの変身を解いた一聖は再びバイクで駆け出した。
その直後、一真が現場に到着した。
周囲を見渡し、戦いが起き、そして終わったのだと気付く。
恐らくはあの仮面ライダーがやったのだろうということも、容易に想像がついた。
何もできなかった無力をかみ締め、一真もまたバイクを駆りその場を後にした。



その一部始終を、高層ビルの屋上で見守る者たちがいた。
「あれが俺達の"大将"ってわけか」
「な~んかガラ悪そうねぇ」
「軽率なお前よりはマシだろ」
そう口々に意見を上げる彼らは、どこか奇妙であった。外見上は人間に見えるのだが、何かが決定的に人間とは違うような――奇人達。
「さて、もうしばらくはアンデッド狩りを楽しんでもらうとするか」
「そうだな。だが、用心しろよ。仮面ライダーどもが復活するという事態は、避ける必要がある」
「あぁ、それなら問題ないよ」
集団の中の一人――ニット帽を目深に被ったショートヘアーの女が、にやりと笑う。
「仮面ライダーは復活しないよ。少なくとも、コイツはね」
女の手の中には、1枚のカードがあった。
そのカードに刻まれていたのは『チェンジビートル』。
かつて仮面ライダーブレイドが、変身の力の源にしていたカードであった。





続く




サクっと第二回目です。
この作品でやりたかったことの一つに、
『劇中では見れなかったコンボ技を見たい』
というのがあります。
今回のキックはまさにそれです。

今後もこういう、自分のやりたかった仮面ライダー剣を
書いていきます。

おすぎ

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

仮面ライダー刀-エッジ- 01.アナザー・スペード

4年前、戦いがあった。
やがてとあるライターの手によって世間に知られることとなる、地球上での種族の繁栄を賭けた戦い。
一人の人間のエゴのより起きてしまった、起きる必要の無かったバトルファイト。
その戦いに巻き込まれた、4人の戦士。
幾多の出会い、別れ、戦いを経て。
彼らの戦いは終わった。
親友を封印するという悲劇的な、それが4年前の戦いの結末だった。
しかしその戦いで最も悲劇だったのは――戦いが、まだ終わっていなかったということだ。


現在。
BOARD元所長・烏丸は何者かの手によって命を落とし、封印された53体の不死生物(アンデッド)は、再び地上に解き放たれた。
かつて仮面ライダーギャレンとして戦った男=橘朔也は、新たなライダーシステムを急遽開発。
上条睦月、そして剣崎一真と共にアンデッドの戦いを開始した。
だが模造品である新ライダーシステムは以前のモノに比べ性能で劣り、彼らは苦戦を強いられた。
続く戦い。広がる被害。
そして、以前のようには戦えないというジレンマが彼らを苦しめる。
それでも彼らの中には、戦いを投げ出すという選択はないのだ。


まだ世間では、再び脅威が迫っていることを知る者は少ない。
彼――刀麻一聖(とうまいっせい)もそうであった。
警察官学校に通う彼が、久々の休みを家族とショッピングモールで過ごしていたその時、事件は起きてしまった。
現れたアンデッド達。
次々と残酷に殺されていく人々。
一聖は家族を庇い、そして人々を助けんと勇敢に挑んだ。
だが力を持たない彼はあまりにも無力で――、


目の前で、人々が死んでいく。


そして振り向けば、


血を流し倒れる、両親と妹の姿があった。
一聖が絶望を叫んだのと、仮面ライダー達が現場に駆けつけたのはほぼ同時だった。
凄惨な現場に駆けつけた仮面ライダー達も怒りを爆発させ、アンデッドに立ち向かっていく。


だがそれ以上の怒りを燃やしているのは、一聖だった。
一聖は『仮面ライダー』を知っている。
ベストセラーになった著書には目を通していたし、何よりも彼らに対して憧れの念も抱いていた。
だが、その仮面ライダーはこの程度の存在だったのか?
人々を護れず、家族も護れない。
それでも。
そんな程度の奴らに戦ってもらうしかない自分が、一聖には我慢できなかった。
そして吼えた。
怒り、絶望。黒い感情の限りを叫んだ。


その声は、"アレ"に届いた。
"アレ"は人の感情に呼応して目覚め、そして宿主を探していたのだ。
そして一聖が選ばれた。
眩い閃光が空から降り注ぎ、一聖の目の前に浮かぶ。
光の中には、"アレ"があった。
手を伸ばし彼はそれを、自らの腰にあてがった。
そう、それは目の前で戦う仮面ライダーが着けているのと同じベルト。
いつの間にか手の中――さながらずっと握り締めていたかのように、1枚のラウズカードがあった。
一聖はカードをバックルに装填。小さく、言う。
「……変身」
バックルが反転し、彼の目の前に紫色のオーラウォールが発生する。オーラウォールはゆっくりと彼を包む。
瞬間。一聖の姿は変わる。
そう、仮面ライダーへと変身を遂げていた。
しかもそのバックルに刻まれたマークは朔也、睦月、そしてそれ以上に一真を驚愕させた。
存在するはずがないベルト。
そのベルトに刻まれたマークは、
「スペードの、仮面ライダーだと……」
かつて剣崎一真が変身していたブレイドと同じ、スペードのマーク。
もう一つの剣が、彼らの前に現れたのだった。

その時、まだ誰もその名を知らなかった。
これまで存在しなかったA(エース)の力を纏った仮面ライダー。
新たなる剣。


その名は、仮面ライダー刀(エッジ)。



続く




はい、というわけで仮面ライダー剣の二次作品『仮面ライダー刀-エッジ-』です。
これまで龍騎で甲騎、ファイズでアルファとやってきましたので
順当に次はブレイドでやろうと。

今回からはブログ形式で公開してみようという試みと、
正直今までの尺でモノを書いていくのは難しいと考え
短く、スパスパと更新していこうと思います。

おすぎ

テーマ : 更新報告・お知らせ
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

おすぎ@帝王のめがね

Author:おすぎ@帝王のめがね
特撮二次創作サイト『帝王のめがね』管理人おすぎです。


こちらでは主に創作活動に関する活動報告をしてやろうと思います。
遅筆、執筆無精を改善するためにあえて自分の状況をさらけ出すことにしました。
まったく書いていなくとも、まったく筆が進んでいなくとも、その事実を隠さず晒す。

いわばこのブログは自分への枷。

そんな構ってちゃんみたいな動機で始まったブログです。

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