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仮面ライダー刀-エッジ- 04.ライク・ア・ジョーカー

 そうするしかなかった。
 何度も自分に言い聞かせている。あの時から、今までずっと。
 剣崎一真は、かつての戦いの中で罪を犯していた。いや、人類を守る立場にあった彼の行いを罪を呼べるのは、他でもない彼自身だけだろう。
 彼自身の中で悔いている行為――それは最凶のアンデッドである、ジョーカーを封印したこと。
 地球生態系の頂点を決めるバトルファイトにおいて、唯一ジョーカーは全生物を滅ぼす為だけに存在している。ジョーカーの勝利は全生命の死滅と同義であり、彼を含めた53体のアンデッドを封印することが、アンデッド達のバトルファイトを終わらせる方法であった。だから仮面ライダーとして、一真は何も間違ったことをしていない。
 彼の戦いが、4年前の死闘に終止符を打ったのだ。
 だが、ジョーカーは特異な存在であった。
 ヒューマンアンデッドの力によって"心"を持ってしまったジョーカーは栗原家の人々と関係を持ち、そして戦いの中で一真ら仮面ライダー達との間にも絆を育んでいたのだ。
 ジョーカー・相川始。彼のことを、一真は仲間だと断言できる。
 だが、世界を救うために彼は仲間である始を封印した。そうするしかなかった。
 何度も自分に言い聞かせている。あの時から、今までずっと。
「じゃあね、天音ちゃん」
 努めて優しく声をかけ、一真は栗原家を後にした。
 当然栗原家の人々は始の正体など知らない。知らせる気にもなれない。
 だが始が突然姿を消したことに、まだ幼かった栗原天音のショックは大きかった。活発だった昔が嘘のように塞ぎ込み、素行も悪くなったという。
 思春期だからね。誰でも一度はああいうの、あるでしょ。
 母である栗原遥香はそう言って、曖昧に笑った。
 確かに自分は、世界を救えたのかもしれない。
 だが友を自らの手で封印し、その為に心に深い傷を負った者が目の前にいる。救えなかったものを見せつけられて、一真の心にもまた深い影を落としていた。
 そして今、一真の心を更に追いつめているものがある。
 栗原家の営む喫茶『ハカランダ』を後にし、走り出した一真のバイク。そのコンソールにアンデッド出現の反応が映り、一真はアクセルを噴かした。
 現場にはすでに、アンデッドではない別の存在が出現しているのが分かった。
 間違いは無いだろう。恐らくは、彼だ――。


 臨海公園が惨劇の舞台と化している。公園にいた人々が、次々と出現したアンデッドの餌食となっていた。
 だが、その場にいち早く現れたのは――仮面ライダーエッジ。
 周囲を一瞥する。倒れた人々の姿に、エッジの仮面の下で一聖の瞳がかっと赤くなるかのように怒りが燃えた。
 フラッシュバックするのは、目の前で死んだ家族の姿。
 救えなかった自分と、仮面ライダーの弱さ。
 脳裏に過ぎったそれらを振り払うようにエッジは、醒刀エッジラウザーを抜く。
「今度は……お前らが狩られる側だ」
 鋭い切っ先を向けたまま、駆け出す。
 その戦い方に容赦は無かった。相手は、不死の命を持つ怪物。死を持って彼らに報いを与えることは出来ない。だからこそエッジはその怒りを、罪を、アンデッド達の身体に無数に刻み付けていく。
 もはやその様は、どちらが怪物なのか分からないほどに凄惨なものだった。


 駆けつけた一真=グレイブは息を呑んだ。
 もはや虫の息となって地に伏したディアーアンデッドに足をかけ、何度も醒刀の刃を突きつける仮面ライダーの姿が、そこにはあったからだ。
 アンデッドに同情するわけではない。だが、それは余りにも残忍過ぎる。
 何より、その戦う様を遠くから見守る人々の怯える瞳。一真はそれを見ることも、そんな戦いをする彼のことも耐えられなかった。
 腰に構えたグレイブラウザーから、ブランクカードを引き抜き、投げ放つ。
 カードはディアーアンデッドに刺さり、そしてその身をカードへと飲み込んでいく、。封印が完了したのだ。
 『サンダーディアー』のカードが、グレイブの手元へと舞い戻っていく。
「お前……何故邪魔をする?」
「いくらなんでも、こんなやり方は間違ってる。だからだ。邪魔したつもりはない」
 力強く言い放つ二人の視線が、しばし無言のままでぶつかりあう。
 その刃を向けられても不思議ではない緊迫した空気が流れたが、エッジはラウザーを腰に収めた。
 そして、エッジはグレイブに背を向けて去っていく。
 見覚えのある背中だった。
(似ているな、あの頃の始に……)
 まだ生まれたばかりの未熟な心を持て余し、始とは最初は決別していた。あの頃の始もこんな風だったことを思い出した。
 だが、彼とて最初からこうだったわけではない。
 彼が心を閉ざし、獣のように戦うようになった原因を作ったのは――他でもない自分の弱さだ。
 無意識に、一真は拳を固く握り締めていた。
 かけてやる言葉もなく、また動くことも出来ずにただ去っていくエッジを見つめていた。





第4回です。
余談中の余談ですが、僕は平成ライダーの劇場版では『MISSING ACE』が凄く好きです。
あの話に不満があったからこんな作品を作っているわけではありませんが、思いついてしまったので
作ることにしています。
ただ書いていて思うのは、やはり主人公である剣崎一真という男のこと。
平成主人公の中で一番個性がないと、個人的には感じています。
でも、彼って人気がありますよね。
その原因を考えてみて分かったことは――続きは次回更新時に。

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ジャンル : 小説・文学

仮面ライダー刀ーエッジー 03.レイジング・ソウル

それが、良いことなのか悪いことなのか。
聞かれても咄嗟には答えられないだろうなと、橘朔也は考えていた。
彼の目の前に置かれたディスプレイには、53体のアンデッドのリストが浮かび上がっている。
以前彼らが使っていたアンデッドサーチャーを応用発展させたこの『アンデッドレーダー』は、
アンデッドの活動を衛星監視できるシステムだ。
奴らが動き出すと、どこで、どのアンデッドが暴れるのかが分かるのである。
そして現在、リストにあるアンデッドの1/4に『SEAL』の文字が浮かんでいる。
ラウズカードに封印された状態であることを示している。
人類の脅威・アンデッドの封印は順調に進んではいる。
だが、それは朔也達の手によるものではない。

仮面ライダーエッジ。

彼がそのほとんどを封印している。
朔也が、睦月や一真と共に戦って封印したのは僅か3体。
昔の自分達ならこんな惨めな結果にはならなかっただろう。かつてのライダーシステムをもって戦えれば――3人の中に共通する、決して口にはしないそれは"言い訳"でしかないのだ。
視線が自然とダイヤスートのA……チェンジスタッグに向く。
このアンデッドはまだ封印されていない。大きな動きを見せておらず、まだ見つけることも叶わずだ。
睦月――レンゲルの変身に必要な、チェンジスパイダーも同様だった。
そして問題があるとしたら、一真のブレイドに必要なチェンジビートルには『SEAL』の表示が出ていることだった。
即ち、ビートルアンデッドはすでに封印されている。
そして自分達以外にそれが出来るのは。
「凄い勢いですね、彼」
後ろからの声に朔也が振り返る。
そこにいたのは、睦月だった。ディスプレイを覗き込んでいる。考えていることは同じであろう。
「確実に所在が分かっているのはチェンジビートル、ブレイドだけだな」
「彼と話ができれば、どうにか手にできるかもしれないですけどね。それも難しそうだ」
「ああ……聞く耳持たずもいいところだ」
事実として、朔也たちは戦いの中でその後もエッジと対峙している。
だが睦月も言うように、こちらの話を聞くどころか、刃を向けてくるのだ。
そしてエッジの戦闘力とグレイブら擬似ライダーシステムでは、力ずくなどという手段も取れなかった。歯が立たない。
「少しだけ、思い出しますよね」
何を言わんとしているのか、すぐに分かった。朔也自身もそう思っていたことだからだ。
似ている。
あの、戦いに身を委ねる獣のような姿。
何度も対立し、やがては仲間となったアンデッド。そして誰より人間らしかった異形――ジョーカー。
「4年前の再現のつもりじゃないかと、誰かの采配じゃないかと疑いたくなるな」
「だとしたら、僕らはピエロだ。笑われるでしょうね、ここまで役に立たない演者だと」
「卑下するなよ。しかし、4年前とは違うか。俺達は……あれから4年も経っているだもんな」
朔也は深いため息をついた。
モニターにはジョーカーの名ももちろんあった。
だが、そこにだけは唯一『LOST』の文字が浮かび、一切の反応が無かった。


その頃。
一真の姿は、とある喫茶店の一室。店舗スペースの下に構えられた部屋の前にあった。
小さな手土産をドアの前に置く。そして小さく、優しく声をかける。
ドアの向こうにいる少女へと。
「じゃあ、また来るよ。天音ちゃん」
だが、そこには一切の反応は無かった。一真は曖昧な、それでいて精一杯な笑顔を作りその場を去った。


4年前とは違うのだ。
この戦いは、種の存続を賭けた地球生物のバトルファイトではない。
それは誰の目にも明らかだった。
作為的に彼らを蘇らせた存在がいる。
刀麻一聖はそれを探し出したかった。
その存在を見つけて、自分はしかし何をしたいのだろう。
土下座させたいのか。斬りつけたいのか。それは分からない。
だが、それこそが今の彼の唯一の望みだった。
こんな下らない戦いで全てを失った自分にできることは、それしかないと――轟々と唸る憎しみが彼に戦いを強要していた。

今はまだ、自分に降りかかった運命の行き先を知らず。
仮面ライダー達の過酷な運命は、まだ動き出したばかりだった――。

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プロフィール

おすぎ@帝王のめがね

Author:おすぎ@帝王のめがね
特撮二次創作サイト『帝王のめがね』管理人おすぎです。


こちらでは主に創作活動に関する活動報告をしてやろうと思います。
遅筆、執筆無精を改善するためにあえて自分の状況をさらけ出すことにしました。
まったく書いていなくとも、まったく筆が進んでいなくとも、その事実を隠さず晒す。

いわばこのブログは自分への枷。

そんな構ってちゃんみたいな動機で始まったブログです。

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